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「気楽に行こうよ」

突然思い出したので。

昨年の朝日新聞に掲載されていたお話。
高度成長時代の終わり頃にモービルオイルのCMが流れた。
当時、日活の売れない俳優で芦川いずみのダンナという呼ばれ方を
していた「藤竜也」(この後「太陽にほえろ」「時間ですよ」で大ブレイク)と
歌手から俳優へと変わりつつあった「鈴木ヒロミツ」
ガス欠の車を押しているシーン。
歌は「マイク真木」。最後のナレーションは「加藤和彦」
モーレツサラリーマンの時代に「ほんわかした雰囲気」が評判に。
(ぼくもこのCM大好きで、ずいぶん癒されました)

テーマは「のんびり行こう」。
作ったのは天才ディレクターといわれた「杉山登志」
杉山の作品は次々とヒットし一世を風靡、裏方でありながら
スターCMディレクターとなった。

が、ヒットをいつまでも連発するのはむずかしい。
あの当時のように馬車馬のように働いていては感性もすり切れ、
引き出しも空っぽになる。挫折、そして突然の死。

「のんびり行こう」と願いながらも売れっ子故、時代を駆け抜ける
しかなかったCM作りの天才は今頃、鈴木ヒロミツと再会して何を
語っているのだろう?


杉山の遺書にはこう書かれている。

「夢」がないのに
「夢」をうることなどは……とても
嘘をついてもばれるものです


自分に正直でありすぎた杉山の人柄がしのばれる文章で、なんだか
ひどくせつない気分になる。CMに出演していた鈴木ヒロミツの
死によって、すっかり忘れられていた杉山にまたスポットが当たった。

人は死んでも「その作品」は人々の心の中で生き続ける。





もっと詳しく知りたい方は
『テレビCMの青春時代―ふたりの名演出家の短すぎた生涯』 (新書)
今井 和也 (著)
by monsieurmt8 | 2007-03-17 18:31 | テレビ
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